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2017年10月2日月曜日

平成29年9月29日(金)東松島市野蒜ケ丘地区&多賀城図書館視察研修開催報告


東日本大震災の被災地復興まちづくり(東松島市野蒜ヶ丘地区)と市街地再開発事業による多賀城市立図書館の視察を9月29日の午後から開催しました。
東日本大震災の現地視察は、震災発生(2011年3月11日)の2ヵ月後の5月2日・3日に岩手県の沿岸部を三陸鉄道さんの企画により視察して以来の企画となりましたが、今回は、復興をした街並みの視察で、今後の津波対策なども考慮していることがわかりました。

2011年の視察研修の状況
東北地方太平洋沖地震現地視察「被災地フロントライン研修」その1
東北地方太平洋沖地震現地視察「被災地フロントライン研修」その2


9月29日(金)
今回の視察は、当協会の会員等13名での参加となりました。

視察のスケジュール
13:00 野蒜駅前で集合(UR亀山課長と合流)
        徒歩で旧野蒜駅(震災復興伝承館)へ
13:15
~14:00 震災復興伝承館での研修
      ・ビデオ鑑賞
      ・野蒜丘陵地区の計画概要等の説明(亀山課長)
14:00
~14:50 野蒜丘陵地区の視察
       視察しながら東名駅まで異動(亀山課長 引率)
14:57 東名駅発(JR仙石線)多賀城へ移動
15:28 多賀城駅着
15:40 多賀城図書館3階レストラン(パブリックハウス)に集合
15:45
~16:30 本件事業の概要説明((株)アール・アイ・エー多田さん)
                本件再開発事業やCCC導入の経緯等の説明
16:30
~17:15 館内見学
           ※案内は、CCCデザインカンパニー/ 公共サービス企画カンパニー
                 多賀城図書館の高橋信行さん
17:10 多賀城駅発JR仙石線で仙台へ


【東松島市野蒜ケ丘地区の視察】
東松島市の野蒜ケ丘地区は、東日本大震災で浸水被害を受けた野蒜地域のまちの主要機能を丸ごと移転するために、被災市街地復興土地区画整理事業により山林を切り開いて造成した地域です。約92haの高台移転先に住宅はもとより、小学校や保育所、駐在所、消防署などが順次建設され、JR仙石線の野蒜駅と東名駅も地区内に移設されています。

野蒜が丘の視察ルート
新しくなった野蒜駅でURの亀山課長様の説明を受けた後、野蒜駅の地下に作られた連絡通路で、震災前の状況が見える広場へ移動し、震災当時の町があった地区を遠望したのち、震災前の野蒜駅(震災復興伝承館)へ移動しました。
移転して新しくなった野蒜駅
主要機能を移転した野蒜が丘の全体像
震災前の野蒜駅(震災遺構として保存されている)
震災前の駅舎は平坦な平野にあり、堀と道路と堤防の先には太平洋が広がっていました。
震災復興伝承館の津波浸水を示すプレート
 
震災前の野蒜駅は「東松島市震災復興伝承館」としてビデオ映像や当時の写真などが掲示されています。
震災当日の地震発生から津波の到達・その後の町の様子などが収められたビデオは今見ても震災当日のテレビ映像を思い出してしまうので、この震災をひとつの教訓として伝承することの意義を感じました。

ここから、新しく山林を切り開いてできた街並みの視察を行うこととしました。
伝承館から見ると山肌が切り立っているところがあり、これは、良質「野蒜石」の産地として切り出されたあととのことでした。
今回は、山林を切り開いて造成したことで、そこで出てきた土はベルトコンベアーを使って、平坦地まで出され、そのベルトコンベアーを設置していたところを道路として整備したとのことでした。

新しくなった街並み
新区画に建った住宅
小学校の新校舎


小学校の新校舎

小学校の体育館

保育園
視察した29日は、晴天に恵まれたため、新しい建物がより映えて環境の良い街並みになっていました。

【多賀城図書館の視察】
野蒜ケ丘地区と同じ仙石線の多賀城駅前に市街地再開発事業により昨年の3月に完成した3棟のうちのA棟で、市立図書館のほか蔦屋書店、レストラン、カフェ、コンビニが入っています。蔦屋書店を運営するカルチュアコンビニエンスクラブ(CCC)が市立図書館の指定管理者となり、民間施設と一体的な運営がなされています。

 開発の概要(パンフレット)

多賀城駅前にある私立図書館の開発について、ヒアリングを行い、図書館の運営等について説明を受けて館内の視察を行いました。

今回の市街地再開発事業は、多賀城駅北地区第一種市街地再開発事業の一環として行われたもので、図書館は「家」をコンセプトとして計画され、図書館内部には、図書館以外に蔦谷書店、カフェ、レストラン、コンビニなどが入っています。

今回は、多賀城図書館の開発に携わった(株)アール・アイ・エーの多田様からコンセプトや運営等に関する説明を受けました。
図書館は、「家」をコンセプトとしているため、概観も三角屋根としていること、施設内は、吹き抜けを中心に左右に分かれ、図書館部分とテナント部分に分かれていること、そのテナントのひとつのパブリックハウスでお話を伺いました。



図書館の運営管理は、指定管理者を公募して、5年契約を結んで運営しているが、現在は、
カルチュアコンビニエンスクラブ(CCC)が指定管理者となっており、従前の市立図書館に勤務していた司書等の希望者は受け入れて現在も勤務しているとのことでした。
現在の図書館勤務者は60名(正規職員・パート・アルバイト)程度で運営しているとのことでした。書籍の管理や新書の購入等も業務の一環となっているとのことでした。

多賀城図書館の詳細はこちら

図書館の指定管理者となっているCCCデザインカンパニー/ 公共サービス企画カンパニー
多賀城図書館の高橋信行さんのご案内で、図書館の視察を行いました。

図書館の特徴は、コンセプトの「家」に基づいて区画されており、学習スペースやキッズスペースなども設けているほか、ギャラリーや展示スペースもあり、市民の交流の場としても利用されているとのことです。
また、全国で20箇所くらいの図書館で運用されている「読書通帳(図書館で借りた本の記録)」の発行が希望者にはできるようになっており、多賀城市内に居住する中学生以下は無料、高校生以上は300円の有料で発行されているとのことです。
自分の読みたい本の検索や借出し予約はネットで出きるようになっており、図書館内はもとより自宅からもできるとのことです。予約が一杯で直ぐにその書籍を読みたい場合などは、館内にある蔦谷書店での購入も可能となっており、図書館の利用と購入する書籍の選択ができることも利用者のメリットとなっているようです。
図書館の配列は、従来の図書館の標準十進法ではなく、独自の配列方法でそれぞれのコンセプトにあった配列となっているとのことでした。